2014年1月3日金曜日

SAVE THE CLUB NOONを観てきた。

もう去年の暮れの話になるけど、映画『SAVE THE CLUB NOON』を観に、十三の第七藝術劇場に行ってきた。


僕の10代のころの音楽遊びと言えば、家でCDを聞いたり、音楽雑誌を読んだり、インターネットやケーブルテレビでライブ映像を観て熱くなり、好きになったバンドのチケットをぴあとかローソンチケットとかで買って、当日の夕方に家を出てライブハウスに足を運んでTシャツ一枚で最前線で汗だくになって叫び、踊り狂ってその日の夜に家に帰ってくるという、典型的なライブハウスキッズのそれだったように思う。
ライブ会場に貼りだされている次観たいと思うイベントのチケットをその場で買って帰ったりもしていた。

そこにオールナイトイベントやクラブイベント、クラブミュージックという要素は皆無で、むしろそんなものは「どうせチャラいし怖い」という勝手な先入観で持って喰わず嫌いのまま自発的に避けていたように思う。(その先入観から生じていたライブハウスとクラブの壁みたいなモノは数年後に綺麗さっぱり取り払われるわけだけど)


なので僕にとってのクラブという存在自体は、もしかしたらこの作品に登場する関係者の皆様の大半とは逆行しているのかも知れない。



観ている途中で、まずそう感じた。





二十歳手前くらいから友達と続けていたロックバンドが音楽性の変化と共に5年くらい前に”OCTAVIO”という名前になって活動し始めたころ。

バンド活動の右も左も何も分からずのときに、音響の師・犬島さんが運営するスタジオ”Wansk Studio”というスタジオで働き始めたことをきっかけに、スタジオでSundayカミデさんに出会い、A.S.Pとしゃかりきコロンブス。にメンバーとして誘ってもらい、それからというものライブ出演でオールナイトと言えばほとんどの会場が「クラブ」と呼ばれる場所だった。
そしてCLUB NOONの舞台でも何度か演奏した。






ステージ上から見える大勢の人がキラキラと踊る景色と、2階の楽屋スペースのソファーに聴こえて来る音と覗き観る共演者のステージ。
そんなNOONで初めて共演という形で出会うことになったのがマッカーサーアコンチであったり、mama!milkであったり。。



要するに10代のころに遊んだ経験の無い空気感やシステムの場所のステージに先に立っていた。それこそが僕とクラブの出会いだったように思う。




当時はまだまだクラブを取り巻く状況も成立している仕組みも何もかもがわからずで、(ああオールナイトイベントというのはこういうもんなんだな)と思ってただただ演奏していただけだったけど、今、風営法の取り締まりをきっかけにものすごく特別なことになってしまった。
その後OCTAVIOやOBUTSUDAN-SUMINOに集中するようになって以降はもう何年もNOONには行っていない。


作品を観ながら、純粋にクラブで遊んだ経験の無かった僕は、10代のころの先入観を先に思い出した。


だからこそ作品の前半、正直に言って関係者の皆様の発言には若干の違和感を感じた。
「踊っちゃいけないなんておかしい。」
「法律が古いままなのがいけない。」
「クラブは怪しいところなんかじゃない。」
「クラブの文化が正しく理解されていない。」

↑(上記は引用ではなく僕の記憶に残っている発言のイメージ)




それは関係者の主張を通したいだけのインタビューのように見えた。

そこには前進の糸口は見えてこなかった。
クラブに馴染みの無い人の大半は、クラブは怪しくて怖くて、どこかしら健全じゃないというイメージを持っていると思う。オールナイトイベントというシステム自体もそのイメージに加担してしまっている。(本当は素晴らしき日本の音楽文化であるにも関わらず)
そこをまず理解してまず受け入れないとこの問題は前に進まない。
首謀者、表現者と世間一般。そして古くから変わっていない法律。
それぞれのズレをまず受け入れないと前に進まないんじゃないか。


そう思いながら作品を見ていた。


そしたら中盤から関係者の発言のベクトルが変わって来た。
問題を感情的にではなく一歩引いて冷静に捉えようとしている姿勢が伝わってきた。
今まで当たり前に行使し、享受していた自由が実は自由では無かったのだ、という事実。
知らなかった。考えたこともなかった。


それは僕に取ってもリアルだった。
作品内で時間の流れや心境の変化が感じられた。そこには確かな希望があった。


これは、この作品に登場するアーティストやNOON関係者やイベント「SAVE THE NOON」に参加したお客さんだけの問題なんかじゃない。

もちろん、僕も踊らせる側としてその一人であり、また踊る側としてもその一人。
音楽で踊ったことのある全ての人に関係のあることだと思う。





そして、さらにその先、管理社会の進行の先にあるものは何か。





戦争。


それらが風営法、TPP、秘密保護法、あらゆる管理制度から繋がっている。


もしかしたらこの先、音楽表現自体が違法になる時代が来るかもしれない。


人前で歌ったら逮捕。楽器鳴らしたら逮捕。大きな音を出したら逮捕。くらいの事になるかもしれない。


SAVE THE CLUB NOONはそんな想像を運んできてくれた。
決して大げさな想像では無いと思う。






僕は今の時代に生きながらできる限り多くのことを、現代の常識やシステムや法律を基準としてではなく、古来の人間の自然な在り方を中心に考えたい。



未来永劫、誰一人として人間の根源的な自由を奪ったり、管理してはいけない。
生命の歓喜の表現、踊ることもその中の重要なひとつだ。






P.S.
一緒に祭りを作ってきた仲間であるからこそもあるかも知れないけど、PIKA☆ちゃんの言ってることはやっぱり平たくてリアルで全然かっこつけてなくて、すっと染み込んで来た。おつかれさまやで!
宮本監督にはまだお会いしたことが無いのだけれど、佐伯慎亮さん、本当にお疲れ様でした。
ありがとうございました!